イギリス映画には、斜陽産業の象徴として、たびたび炭鉱が出てきますね。
この「ブラス」も炭坑夫からなる実際のブラスバンドをモデルにした音楽映画です。
主演のひとりユアン・マグレガーは、この後「人生はビギナーズ」や「ゴーストライター」などの作品でも存在感を放っています。
ピート・ポスルスウェイトは、前年「ユージュアル・サスペクツ」に出演していましたね。
どうも私はこの作品や「ストリートオブファイヤー」や「シャイン」のように、音楽映画が好きみたいです。
映画の内容と、出演している俳優陣について触れていきます。
ブラスのあらすじ
舞台は1992年のイギリス。
石炭の需要低下により、鉱山閉鎖の波が押し寄せ、イングランド北部のグリムリーも例外ではありません。
リーダーで指揮者のピート・ポスルスウェイト演じるダニーは、バンド命と思っていますが、他のメンバーは失業の不安におびえ、練習に身が入りません。
ちなみに、バンド名はグリムリー・コリアリー・バンドといいます。
スポンサーが付いているわけではなく、運営資金はカンパとコンテストの優勝金でまかなっている状態でしたから。
炭坑閉鎖に伴いバンドも解散か?という時に救世主が現れます。
ダニーの親友の孫娘で、トランペットと似た楽器、フリューゲル・ホーンの吹き手、タラ・フィッツジェラルド演じるグロリアです。
グロリアは、ユアン・マクレガー演じるアンディが14歳の頃に恋心を抱いていた相手でもありました。
グロリアの音楽的才能と美貌に惚れ込み、がぜんやる気を取り戻した男たち。
実はグロリアは、ある秘密を抱えていました。
企業側の人間として、石炭の埋蔵量が充分かどうか調査するためにこのグリムリーにやってきたわけです。
(後に形ばかりの調査だというのがわかってしまいます)
グロリアの正体はアンディにバレてしまいますが、二人の仲は親密に。
でも、他のメンバーにもわかってしまうと、グロリアは他の団員だけでなく、アンディともぎくしゃくしてしまいます。
ある日、賞金稼ぎに出かけていったバンドが、無事優勝して帰ってみると、街は今までの閉山騒ぎが嘘のように静まり返っていました。
なぜなら、炭坑閉鎖、労働者の解雇が決まってしまったから。
直後、長年の炭坑仕事で肺を病んでいたダニーが倒れてしまいます。
悪いことは重なり、ダニーの息子でトロンボーン奏者のフィルは、仕事を失い、妻と子供たちに去られ、絶望して自殺を図ってしまいます。
何とか一命は取りとめたものの、メンバーの気持ちはバンド解散に向かってまっしぐら。
そんな時、またも救世主としてグロリアが駆けつけます。
2年前からすでに閉鎖は決まっていたと聞かされ、激怒して会社を辞めてきたと。
しかも、これは汚れたお金だからと、全英選手権出場に必要な3000ポンドをバンドに寄付。
さあ、これでやる気にならない男たちはいない。
彼らは決勝まで進み、当日ロイヤル・アルバートホールには大勢の観客が詰めかけます。
その中には、病院を抜け出したダニーの姿も・・・。
主演のユアン・マグレガーとピート・ポスルスウェイト
ユアン・マグレガーというと、一番はスターウォーズのオビワン役ですかね。
あるいは、「トレインスポッティング」で初めて知ったとか。
私は「トレインスポッティング」を見ていないので、やはりこの「ブラス」が
一番のユアン・マグレガー体験と言えます。
その後、前述したように「人生はビギナーズ」やロマン・ポランスキー監督の
「ゴーストライター」、「砂漠でサーモン・フィッシング」という一風変わった
映画にも出演していますね。
ところで、ユアン・マグレガーにはモデルをしている娘がいて、これからは
女優を目指すといった記事を見かけたことがありました。
次に、ピート・ポスルスウェイトについてです。
始めて見たのはダニエル・デイ=ルイス主演の「ラスト・オブ・モヒカン」
でした。
当時はダニエル・デイ=ルイスと、相手役のマデリーン・ストーしか知らず、後になって気づいた次第で。
「ブラス」の前年に出演した「ユージュアル・サスペクツ」のコバヤシ役は印象的でしたね。
まとめ
「ブラス」は、労働者と音楽の映画といえます。
このタイプの映画の私の原体験は、武田鉄矢さん主演の「俺たちの交響楽」でした。
鉄矢演じる川崎の工員が、街角で「ベートーベンの『第九』を歌いましょう!」
と勧誘していた友里千賀子演じる京子にナンパ目的で近づくことから始まります。
この京子の役割は「ブラス」ではタラ・フィッツジェラルド演じるグロリア
といえるでしょう。
「音楽は何も変えることはできない。
しかし、音楽は何度でも人の心を救うだろう」という言葉を見たことがあります。
至極名言ですね。
この音楽の部分は、芸術と言い換えてもいいかもしれません。
また、世間で高い評価を得ている芸術だけでなく、それに触れることによって
自分の魂が震える、触れる前と後では自分が変わったのがわかる。
そのような音楽、映画などの芸術により多く触れていきたいと思っています。
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