「パピヨン」のあらすじと実話ついて|ラストの考察も

映画

映画「パピヨン」は、脱獄囚の実話を基にして、ベストセラーになった小説が原作です。

私は「ショーシャンクの空に」「ミッドナイト・エクスプレス」など脱獄映画に名作・衝撃作が多いと感じています。

「パピヨン」のあらすじと実話について、ラストネタバレも含めて振り返りたいと思います。

 

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パピヨンのあらすじ

主人公は、スティーブ・マックイーン演じる、胸に刻んだ蝶のイレズミから「パピヨン」と呼ばれる男。

彼は大勢の囚人たちと一緒に、フランスの刑務所から南米・仏領ギアナの監獄に向かうことになります。

罪名は殺人でしたが、それはヌレギヌで、本当は金庫破りにすぎませんでした。

それなのに、国籍はく奪の上に、2度と生きて帰れぬ生き腐れともいうべき道へと追放の身になってしまいます。

港までの行進をニュースカメラがとらえ、その中にもう一人の主人公で生涯の相棒となるドガの姿も映っています。

見物人の中には、パピヨンの恋人も混ざっていて声をかけるが、どうすることもできません。

灼熱の太陽が照りつける船の中でパピヨンは、金ブチ眼鏡をかけた、ダスティン・ホフマン演じるもう一人の主人公、ルイ・ドガに出会います。

 

ドガは、国防債権偽造という罪で捕まり、大金を身につけていたので、後に看守を買収しようとしたりします。

 

でも、看守が債権を買っていて大損したので、かえって裏目に出ることも。

 

ドガは自分の身とお金を守ってもらうために、パピヨンを雇います。

 

パピヨンは二つ返事で引き受け、2人は相棒になるわけです。

 

その後、2人はサン・ローランの監獄に放り込まれます。

 

ここは、脱走を企てたものは独房生活の追加はもちろん、最悪の場合は断頭台が待っています。

 

実際に首を切り落とすシーンは、ちょっと凄惨でしたね。

 

 

逆に、笑えるシーンは、2人でワニを捕まえなければなくなった時

 

成り行きはこうです。

 

前述したように、ドガが重労働を逃れるために看守を買収しようとしました。

 

でも、失敗し、2人はジャングルの奥の強制労働キャンプに送られてしまいます。

 

ここで、ワニが棲む沼地で材木の切り出しをしなければならなくなったわけです。

 

2人に作業をさせるために看守が銃でワニを撃つのですが、弾が当たってもワニはまだ生きていました。

 

そうとは知らない2人が近づいてワニを捕獲しようとしたら、追いかけられる羽目に。

 

パピヨンとドガがお互いに「お前が頭を持てよ」「いや、尻尾だ」などと言い合って、逃げ惑うシーンは笑えました。

 

 

ところで、このサン・ローランの地はいわくつきで、2人が九死に一生の逃亡をしたり紆余曲折を経て、3年後にまた戻ってくることになります。

 

この後は、脱出シーンで有名な、本来政治犯だけが収容される悪魔島にパピヨンは送られてしまいます。

 

すでにドガもこの島に来ていて、お互いすっかり年をとっていました。

 

ドガは、祖国に帰るという夢を失くして、自分の庭園に野菜を植え、孤独だが平和な毎日に満足していました。

 

でも、パピヨンは違う。

 

彼は虎視眈々と脱出のチャンスをうかがいます。

 

ちなみにこの悪魔島、周囲は断崖で、激流とサメの牙が押し寄せているので、脱出不可能といわれています。

 

ですから、囚人に手錠も足かせもありません。

 

パピヨンにとっては、脱獄ではなく、島からの脱出となるわけです。

 

パピヨンは、波の動きを調べるために、ココナッツの実を海に投下します。

 

そしてついに、7つ目の大波に乗れば沖に出られることを発見。

 

パピヨンの脱出案にドガも心が動かされますが、ドタン場で決意が崩れます。

 

抱き合って無言の別れを告げるふたり。

 

ココナッツを詰めた包みを7つ目の波に落下させ、崖から身を翻すパピヨン。

 

ココナッツをいかだにしてそれに乗り、沖を目指します。

 

本当の自由だ。「こん畜生!俺はまだ生きてるぞ!」

 

見送るドガの目には熱い涙がとめどなく流れていました・・・

 

 

パピヨンの実話の魅力について

 

胸に蝶(パピヨン)の刺青をした25歳の青年アンリ・シャリエールは、身に覚えのない殺人容疑で無期徒刑囚にされた、とありました。

 

無期徒刑囚という言い方はちょっと古く感じられ、終身刑の方がわかりやすいと思います。

 

いずれにせよ、彼は無実の罪で悪名高い南米仏領ギアナの流刑地に送られることになるわけです。

 

以後、自分を罪に突き落とした者たちへの復讐を誓い、13年に渡る執念に満ちた自由への闘いが始まります。

 

1906年に生まれたアンリ・シャリエールは、11歳の時に母親が死に、以後グレた生活を送ったとのこと。

 

17歳の時にケンカで級友を殺しかけ、感化院送りを逃れるため軍隊に。

 

そこでも上官に反抗して重労働になるところ、わざとケガをして苦行を免れたとのことです。

 

わざとケガをする囚人というのは、映画の中でも出てきましたね。

 

悪への傾斜はますます進み、結局有罪判決は覆りませんでした。

 

1944年に何と10回目の脱出に成功、ベネズエラに逃れ国籍を得て、ついに宿願の自由の身になる。

 

その後、レストランの経営者になるが、一人の不良少女の自伝を見て自分の数奇な体験を書くことを思いついたとのことでした。

 

 

まあ、それにしてもすごいと思ったのは、何とか脱獄しようとする肉食動物である西洋人の執念とエネルギーですね。

 

自分がこうだと思い込んだことを絶対に通さなくては気が済まない、というエゴを守り通すエネルギーは、すごい。

 

菜食主義の日本人でも、一時的には強烈に自己主張することはありますが、もっと淡泊ですよね。

 

長い年月牢獄の中でしめつけられ、痛めつけられ、ついには髪が白くなってもまだ脱獄の初志貫徹を曲げないとは。

 

私には、年老いた身で悪魔島で菜園を営むドガが日本人的というか、一般的にはこうなると思えました。

 

でも、普通に暮らしている日本人には、自由の有難味というのはわかりませんからね。

 

奪われた自由を取り戻すために執念を燃やし続けたパピヨンには、ただ感服です。

 

 

ラストシーンを考察すると

 

映画のラストシーンで、海の中にダイビングスーツを着たアシスタントらしき人が映りこんでいるとのこと。

 

下から支えるためですね。

 

DVDで見直したら確認できました。

でも、昔名画座で見た時は、映画にどっぷりはまっていたので、全く気づかず。

 

この映画を見た女性の友人は、「ダイビングスーツの人影を見たら、それまで流していた涙がスーと引いていった」と言っていました。

 

でも、私は別にかまわない。

 

なぜ取り直しをしなかったのか、という意見も見たことがあります。

当時は、現場での対処が難しかったのではないでしょうか。

 

ある映画の一部分だけを切り取って、ダメというのは言い過ぎだと思います。

 

確かに、映画のラストシーンは大事です。

 

でも、とにかく全編を通じてパピヨンは傑作だと私は声を大にしていいたい。

 

 

まとめ

 

非の打ちどころがない映画、確かにそれが理想かもしれません。

 

でも、下手をするとエネルギーを失って、こじんまりとしてしまうかも。

 

1970年代を代表する2大スターといっていい、スティーブ・マックイーンとダスティン・ホフマンの初共演。

 

ふたりの共演は1たす1が2ではなく、3にも5にもなっているそんな印象を受けました。

 

この映画が与えてくれるものは、自由への憧れと不屈の闘志、加えてそれをとりまく男同士の友情といえるでしょうか。

 

この映画、音楽も好きでレコードも持っていました。

音楽担当は、ジェリー・ゴールドスミスですね。

 

また、脚本が映画「ジャニーは戦場へ行った」のドルトン・トランボ。

彼も戦後の赤狩りで共産主義者の烙印を押され、1年の牢獄生活を体験したとのこと。

 

始めてこの映画を見た時は、ただ感動したというものでしたが、製作者たちの思い入れを知るにつれ、何か素晴らしい作品を作るというのは、執念なんだと感じた次第です。

 

 

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