リチャードギア主演テレンスマリック監督「天国の日々」の事

映画

テレンス・マリック監督の作品というと、2011年公開の「ツリー オブ ライフ」を挙げる人が多いかもしれません。

 

でも、私にとっては、「天国の日々」が一番印象深いですね。

主演は「愛と青春の旅立ち」で一躍有名になったリチャード・ギア。この作品が日本公開されたのが1982年。

 

「天国の日々」は1978年製作ですから、事実上の第一回主演作ですね。

リチャードギアの若い頃が見られますよ。

 

 

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「天国の日々」のあらすじ

この物語の語り手である少女リンダ(リンダ・マンズ)は、リチャード・ギア演ずる兄のビルと、その恋人のアビー(ブルック・アダムス)の3人でさすらいの旅に出ます。

 

第一次世界大戦が終わって間もない頃です。

 

ビルはシカゴの石炭工場で働いていたのですが、いざこざが元で仕事を辞め、新しい生活を始めようとしていました。

 

貧しい彼が夢見ていたのは、王様のような生活でした。

 

やがて、彼らはある農場で麦刈りの仕事を見つけます。

そこで、季節労働者の群れに入りやすくするために、ビルは恋人のアビーを妹と偽ります。

 

朝から晩まで泥まみれになって働くビルたち。

 

そんな彼らにも転機が訪れます。

 

サム・シェパード演じる若い地主のチャックが、アビーに目をつけたことが発端です。

 

誰もがうらやむようなチャック。

 

でも、身寄りがないだけでなく、生きられるのはあと一年という不治の病を抱えているのでした。

 

刈入れが終わり、また別の土地に流れていこうとするアビーに、チャックはこのままいて欲しいと持ちかけます。

 

戸惑うアビーに、ビルは、彼の行為を利用しろ、と言っちゃうんですね。

思えば、これが悲劇の始まりになるわけです。

 

でも、貧しいビルの立場を考えれば、責められないと感じました。

 

結局、兄のビルと妹のリンダも滞在を続けることを条件に、アビーはチャックの申し入れを受けます。

 

柔らかな陽ざしの中で行われるチャックとアビーの結婚式。

 

新しい生活もスタートします。

 

大自然の中で一日中遊べる毎日は、まさにビリーが夢見た王様の暮らしでした。

 

この後、ビリーとアビーは、チャックの目をかすめて会い続けます。

 

そんなある日、ビルがアビーに熱い口づけをするのを、チャックに目撃されてしまいます。

 

それが、兄妹の口づけではないことをすぐに察知するチャック。

 

チャックは、アビーを激しく責めます。

 

ふたりのいざこざを知ったビルは、家を出ることを決心。

 

ビルが消えた農場は、再び静けさを取り戻します。

 

でも、アビーへの思いを断ち切れないビルは、再びこの家に戻ってきてしまうんですね。

 

そして、アビーが今ではチャックのものだと直感したビルは、すぐにこの場を去ろうとします。

 

しかし、ビルの姿を目撃したチャックは、自分の心の内にいったん消えかけていたビルへの殺意が再び広がり始めていたことを感じていたのでした。

 

導火線に火をつけたのは、イナゴの大群が農園を襲った日の事。

 

チャックの殺意を感じたビルは、アビーを連れて農園を逃げ出そうとします。

 

妻の裏切りを知ったチャックは、アビーを家に閉じ込め、ピストルを持ってビルのところへ向かいます。

 

悲劇の幕が切って落とされました・・・。

 

 

テレンスマリック監督とネストールアルメンドロス

テレンス・マリック監督は、映像詩人と呼ばれています。

 

今作の、雄大な麦畑と、わずかな賃金のために働く移民労働者のコントラストを基調にした視点に、その特長が出ていると感じました。

 

ハーバード大学哲学科を経て、UCLA映画学科に飛び込み、主にドキュメンタリー映画を手がけていたそうです。

 

1973年にマーティン・シーン主演の「Badlands」(日本未公開)で映画デビュー。この映画は「地獄の逃避行」というタイトルでテレビ放映されました。

 

これも女性のナレーションで話が進んでいくので、「天国の日々」のプロトタイプといえましょうか。

 

ちなみに、私がマーティン・シーンを始めて知ったのは、ジョディ・フォスター主演の「白い家の少女」という作品でした。

 

「天国の日々」は、監督第2作目で、この人もビクトル・エリセ同様寡作家ですね。

 

ところで、「天国の日々」の世界観を語る上で、撮影監督であるネストール アルメンドロスの存在は非常に重要です。

 

自然光を活かしたり、夜の室内シーンでは一つの光源しか使わなかったりと、細微に至る工夫が見られます。

 

 

「天国の日々」の音楽について

この映画の音楽は、「荒野の用心棒」「夕陽のガンマン」などで有名なエンニオ・モリコーネなんですね。

 

彼のCDを持っているのですが、その守備範囲の広さには驚かされます。

残酷・恐怖のサウンドもあれば、格調高いサウンドまであるという。

 

モリコーネ音楽で私が特に気に入っているのは、「続・夕陽のガンマン」と「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」のデボラのテーマですね。

 

「天国の日々」のメインテーマは、サン=サーンスの「動物の謝肉祭」の一部から採ったとのことでした。

 

 

まとめ

 

「天国の日々」の初見はビデオでした。

できれば、作品の雄大さを映画館で味わっていただきたいと思っています。

 

ところで、主演のリチャードギアについてどういう印象を持っていますか?

作品でいうと「プリティウーマン」「ハチ公物語」「運命の女」といったところでしょうか。

 

ひところは、ジョン・トラボルタに追いつけ追いこせ、なんて言われていたらしいですね。

 

この作品では、セクシーさを抑えた、汚れた二枚目といえる演技に惹きつけられました。

 

意外だったのは、「ミスター・グッドバーを探して」より前にこの作品が撮影されていたことですね。

 

「ミスター・グッドバーを探して」をテレビで見てから、この映画に巡り会うまで随分時間がかかりました。

 

この映画は、今はなくなってしまった新宿歌舞伎町の「シネマスクエアとうきゅう」で単館上映されました。

 

そうそう、この物語は語り手のリンダの成長物語としてとらえることもできますね。

 

主演はリチャードギアですが、大自然そのものが主役ともいえます。

ですから、大画面で見たい!

 

またどこかの映画館でやってくれないかな?

絶対観にいくぞ。

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